神戸大学惑星科学研究センター(Center for Planetary Science : CPS) は,国内外に開かれた惑星科学の学術拠点として2007年4月に誕生し,大学や機関および国の枠を超えた人材育成や研究活動を支援し,惑星科学の様々な領域から研究者が集い,知見情報が集積される場を作ってきました.この度CPSは,これまでの活動に加え,JAXA・宇宙科学研究所の大学共同利用連携拠点として太陽系探査科学の発展に貢献することとなりました.
大学共同利用システムによる宇宙科学研究を推進する中核機関としてJAXA宇宙科学研究所は,双方向連携強化による共同利用・共同研究の一層の充実に向けた活動が行われており,その一環として神戸大学では,惑星科学研究センターが中核となり,理工連携による太陽系探査科学に関するプログラムの策定に寄与し,宇宙科学探査ロードマップの具体化にサイエンスの面から貢献する拠点となることを目指しています.
その活動内容は、
(1) 太陽系探査ミッション創出のために,ミッションの科学目的の先鋭化を宇宙科学研究所の連携研究者や宇宙・惑星科学コミュニティーの研究者とともに推進.
(2) 探査を牽引する人材育成のために惑星探査の立案過程を実地に訓練する場として,探査ミッション立案スクールを実施.
神戸大学ではすでに「はやぶさ2」小惑星探査の宇宙衝突実験や「あかつき」金星探査において,惑星探査の一躍を担っていますが,今後は,さらに宇宙科学研究所との連携により,太陽系探査科学の拠点として研究・教育を推進して行く所存です.ついては,大学共同利用連携拠点としての活動を開始するにあたり,以下の要領でワークショップを開催いたしますのでご参集いただければ幸いです.
名 称: 第6回 CPS 月惑星探査研究会・大学共同利用連携拠点キックオフワークショップ
日 時: 8月27日(木)13時 − 8月28日(金)15時
場 所: 神戸大学・惑星科学研究センター(CPS)
https://www.cps-jp.org/access/
共 催: 神戸大学 理学研究科
プログラム:
8月27日(木)
13:00-13:15 本ワークショップについて (林祥介・神戸大学)
13:15-15:45 火星衛星サンプルリターンセッション (1)
13:15-13:45 ・ミッション概要 (倉本圭・北海道大学)発表資料
13:45-14:00 ・ミッション検討の経過 (和田浩二・千葉工業大学)発表資料
14:00-14:45 ・火星衛星の起源について:現状の理解とサイエンス(玄田英典・東京工業大学) *1発表資料
14:45-15:15 ・火星衛星サンプルと太陽系科学 (橘省吾・北海道大学)*1発表資料
15:15-15:45 ・表面地質のリモセン観測 (亀田真吾・立教大学)*1
15:45-16:10 Tea break
16:10-17:50 CPS-ISAS大学共同利用連携拠点
16:10-16:30 ・CPS-ISAS大学共同利用連携拠点の発足について (観山正見・神戸大学)
16:30-16:50 ・ISASにおける大学連携のフレームワークと本連携拠点に期待するもの(満田和久・ISAS)
16:50-17:25 ・探査検討スクールとミッションの立ち上げに向けた支援について(上野宗孝・ISAS)
17:25-17:50 ・総合討論 (荒川政彦・神戸大学)
18:00-20:00 懇親会
8月28日(金)
09:15-12:00 火星衛星サンプルリターンセッション (2)
09:15-09:45 ・火星衛星から探る火星圏(寺田直樹・東北大学)*1
09:45-10:15 ・火星大気観測 (今村剛・ISAS)*1発表資料
10:15-10:45 ・火星衛星で想定される地質構造と内部構造 (宮本英昭・東京大学)*1
10:45-11:15 ・火星衛星起源と含水小惑星の加熱脱水プロセス (中村智樹・東北大学)*1発表資料
11:15-12:00 ・総合討論 (渡邊誠一郎・名古屋大学)発表資料
12:00-13:10 Lunch break
13:10-13:30 惑星科学分野におけるRFIと、惑星科学のロードマップについて (倉本圭・北海道大学)発表資料
13:30-13:45 宇宙科学ミッションの考え方について (上野宗孝・ISAS)発表資料
13:45-14:25 新たなミッションの創出に向けて
13:45-14:05 ・リモート観測による、小惑星の含水鉱物探査 (臼井文彦・東京大学)発表資料
14:05-14:25 ・超小型衛星による精密磁場観測衛星の検討(篠原 育・ISAS)発表資料
14:25-14:40 Concluding remarks (観山正見・神戸大学)
(*1 : TV会議経由でプレゼン)
世話人: 観山正見、林 祥介、大槻圭史、荒川政彦、中村昭子、高橋芳幸、保井みなみ、巽 好幸(神戸大学)
倉本 圭(北海道大学)、渡邊誠一郎(名古屋大学)、上野宗孝、尾崎正伸(ISAS)
*備 考1:ネットワーク会議システムによる中継も行ないます。
接続ご希望のサイトは tansa-rgst@cps-jp.orgまでご連絡ください。
接続希望サイト多数の折には同一キャンパス内等、近傍でのサイト集約にご協力お願いすることもあります。
*備 考2:参加登録
神戸CPS会場に起こしいただける方には、懇親会人数確認をかねた、参加登録をお願いします。
参加登録エントリはCPSホームページhttps://www.cps-jp.org/にログインいただきますと、ページ右側に表示されます。
CPSアカウントをお持ちでない方はtansa-rgst@cps-jp.org にご一報ください。
今回の大学連携の目指すものは,今後の太陽系探査に関わるミッションを
コミュニティーが主体性を持ってボトムアップに創出して行く事を支援・推進していくことを目的としていますが,キックオフとなる本ワークショップでは,現在検討が行われている火星衛星サンプルリターンミッションについて,その目指すサイエンスとミッションの検討状況について掘り下げた議論を行い,科学内容の先鋭化と開発すべきキー技術の明確化を促すとともに,広く参加者を募り,情報共有を進めることによりミッション全体を支えるコミュニティーの拡大と連携強化の一助となることを目指します.また,CPS-ISAS大学共同利用連携拠点で計画している活動の紹介とその内容についての議論を行い,将来のミッション候補となるワーキンググループの発足に向けた活動を開始させたいと考えております.
惑星科学コミュニティーでは,将来の太陽系探査を推進する大型計画案「太陽系生命前駆環境の実証的解明」を惑星科学会会長名で日本学術会議に提案し,マスタープラン2014に採択されており,全国の研究者を有機的に連携する,惑星科学研究コンソーシアムの発足をめざしています.CPSはこれまでの大学や学会の垣根を越えた活動等の実績から,コンソーシアムの統括部門としての機能を果たす事が期待されており,今後のコンソーシアム活動の強化についての議論も行いたいと思っております.