アブストラクト |
線状降水帯に伴う大雨が毎年のように発生し、甚大な人的・経済的被害が発生している。早期避難・減災のため、線状降水帯に伴う降水量の予測精度向上は喫緊の課題の一つである。予測精度向上には、その形成維持プロセスに最も大きな影響を与える大気下層の水蒸気量の観測、及び観測データの同化による水蒸気場の初期値改善が重要である。我々の研究グループでは独自に、大気下層の水蒸気鉛直プロファイルを得る水蒸気ライダー開発を進めている。2017年から関東沿岸部で水蒸気ライダー観測を実施し、2020年からは福岡大・防災科研と協力して線状降水帯が頻発する九州にて水蒸気ライダー観測を実施している。これまでの観測により、線状降水帯発生前や発生中に大気下層で水蒸気量が大きく上昇することを確認している。さらに水蒸気鉛直プロファイルの同化により、降雨域が若干改善することを明らかにした。本セミナーでは我々の研究グループが実施している水蒸気ライダーの開発・観測、さらにデータ同化の結果について紹介する。 |