アブストラクト |
初期火星の環境進化の理解は、惑星気候的観点からも、地球化学的観点からも、またアストロバイオロジー的観点からも、重要な研究ターゲットである。欧米の大型着陸探査の科学目標は、まさにこの初期火星におけるハビタビリティの理解であり、10年以上にわたる探査車によるその場分析などの結果、多くの知見が得られた。それらが示す火星の環境進化は、これまで想定されていたより、劇的に環境が変動してきたということである。気候だけでなく、pHや塩濃度などの水質、大気の酸化還元状態など、地球の進化よりも短時間で大きな振幅を伴う変動が起きていたことが示唆されている。本講演では、そのようなこれまでの探査結果明らかになってきた火星の環境変動について、講演者らのグループの研究内容を紹介するとともに、それを引き起こした原因や生命への影響について議論する。 |