アブストラクト |
コンドルールはオリビンや輝石などの鉱物からなる珪酸塩球粒で、コンドライトと呼ばれる始原的隕石の主要な構成要素である。コンドルールは、太陽系の原始惑星系円盤において固体粒子が加熱・急冷過程を経て形成されたと考えられている。
二次イオン質量分析計(SIMS)を用いたコンドルールの局所酸素同位体比分析研究の結果から、(1)個々のコンドルール内部の酸素同位体比は、多くの場合は鉱物相に関係なく均一であること、(2)コンドルールの酸素同位体比はΔ17O値(=δ17O-0.52×δ18O)で-10‰から+2‰の範囲に分布すること、(3)コンドルールの酸素同位体比(Δ17O値)と苦鉄質鉱物のMg#(100×MgO/(MgO+FeO), モル比)に隕石の種類毎に特徴的な関係があること、が明らかになってきた。これらの特徴はコンドルールが熔融して形成した際に周囲のガスと蒸発・凝縮反応を通して同位体・化学平衡に近い状態に到った事を示している。
我々は、酸素同位体比と鉱物のMg#の相関はコンドルール形成時の形成環境中のH2O量の違いを反映していて、コンドルールの酸素同位体比とMg#から、コンドルールが原始惑星系円盤の中でどう移動したかを明らかに出来るのではないかと考えている。 |