アブストラクト |
月はグローバルな固有磁場や濃い大気を持たないため、その固体表面は太陽風プラズマに曝されており、電気力学的な相互作用が生起する。こうした相互作用の結果として、月の昼側は電気的に正に、月の夜側は負に帯電することは良く知られている。一方、月面はプラズマ粒子群にとっての吸収境界を与えるため、結果として生じる電気環境は月の地形に大きく左右される。本研究では、月表層の電気環境に影響を及ぼしうる月地形として、近年かぐや衛星等で発見された「縦孔地形」に着目する。特に粒子モデルのプラズマ運動論シミュレーションをこの地形に適用し、月面の帯電分布とその周辺でのプラズマダイナミクスを明らかにした上で、月縦孔周辺が特異な電気環境にあることを示す。またプラズマシミュレーションで得られた電気環境を入力として、月面近傍の帯電ダスト挙動の数値モデリングを開始している。この進捗状況と将来展望についても議論を行う。 |