セミナー: CPS セミナー
日時: 2016 年 7月 19 日(火)16:30-
場所: 神戸大学惑星科学研究センター セミナー室

講演者: 臼井 英之 (神戸大学システム情報学研究科 教授)
タイトル: 月面磁気異常上空での太陽風プラズマ応答に関するプラズマ粒子シミュレーション
要旨: 太陽風と惑星固有磁場の相互作用によって磁気圏が形成されることはよく知られている。一方、月はグローバルな固有磁場はないが、その表面には局所的に磁気異常が分布しており、その上空におけるミニ磁気圏の存在がこれまでの衛星観測によって示唆されている。特に月探査衛星「かぐや」により、磁気異常上空における太陽風イオンの反射や電子加熱に関する観測的事実が次々と示された。これらのプラズマ現象を理解するために、我々は、3次元プラズマ粒子シミュレーションを用いて、月面磁気異常上空に形成される小型磁気圏及びその境界層領域におけるプラズマダイナミクス、特に電子の挙動について運動論的観点から詳細解析を行った。本講演では、プラズマ粒子シミュレーション手法とともにその結果の一部を紹介する。
キーワード: 月面磁気異常、プラズマ粒子シミュレーション、ミニ磁気圏、電子ダイナミクス

講演者: 三宅 洋平 (神戸大学システム情報学研究科 准教授)
タイトル: 月縦孔地形周辺のプラズマ・ダスト環境に関する粒子シミュレーション
要旨: 月はグローバルな固有磁場や濃い大気を持たないため、その固体表面は太陽風プラズマに曝されており、電気力学的な相互作用が生起する。こうした相互作用の結果として、月の昼側は電気的に正に、月の夜側は負に帯電することは良く知られている。一方、月面はプラズマ粒子群にとっての吸収境界を与えるため、結果として生じる電気環境は月の地形に大きく左右される。本研究では、月表層の電気環境に影響を及ぼしうる月地形として、近年かぐや衛星等で発見された「縦孔地形」に着目する。特に粒子モデルのプラズマ運動論シミュレーションをこの地形に適用し、月面の帯電分布とその周辺でのプラズマダイナミクスを明らかにした上で、月縦孔周辺が特異な電気環境にあることを示す。またプラズマシミュレーションで得られた電気環境を入力として、月面近傍の帯電ダスト挙動の数値モデリングを開始している。この進捗状況と将来展望についても議論を行う。
キーワード: 月面帯電、月縦孔、プラズマ粒子シミュレーション、プラズマダイナミクス、帯電ダストダイナミクス
世話人: 高橋 芳幸