アブストラクト |
金星の雲頂では、大気が自転の60倍の速さ(100 m/s)で自転方向に循環する、所謂「大気のスーパーローテーション」が存在することが広く知られている。一方で、その直上の電離圏では、さらに高速の400〜1000 m/s以上に達するスーパーローテーションの存在が示唆されていたが、系統的な計測誤差の可能性もあり、その真偽は良くわからないままであった。近年の金星探査機Venus Expressおよび火星探査機Mars Expressの観測により、金星のみならず、火星の電離圏にもスーパーローテーションが存在することが示唆され、再び注目を集めている。本発表では、探査機の観測結果および数値シミュレーションを用いた金星熱圏および金星・火星電離圏のスーパーローテーションの先行研究を紹介し問題点を整理した後、金星および火星の熱圏・電離圏スーパーローテーションを駆動する要因を議論する。 |