アブストラクト |
隕石中にはごく微量ながら太陽系元素存在度とは大きく異 なる同位体組成を持つグレインが存在する.これらグレインの 同位体比は恒星中の元素合成や銀河の化学進化の痕跡を保持し ていると考えられており,これらグレインはプレソーラーグレ インと言われている.プレソーラーグレインの中で28Siの過剰 や Ca 同位体比中に44Tiの痕跡が見られるグレインは超新星起 源と考えられている.そして,超新星起源グレインの同位体比 を超新星元素合成モデルを用いて定量的に再現する試みも行わ れ始めている.しかし,グレインの同位体比や元素組成を再現 するには超新星ejectaの不均一な混合を考慮する必要があり, どのような混合組成がグレインの同位体比を再現しうるかはよ くわかっていない.本研究ではまず大質量星の進化と超新星に おける元素合成過程を解くことで超新星ejectaの元素組成分布 を求める.次に超新星ejectaを元素組成の特徴を基に7層に分 割し,超新星起源グレインの同位体比の特徴や個々のグレイン について複数の同位体比を再現する混合組成を求める.発表で は,超新星起源グレインである個々の SiC type Xと low density graphite について 12C/13C, 14N/15N, 26Al/27Al, 29Si/28Si, 30Si/28Si, 44Ti/48Ti, (17O/16O, 18O/16O) の同 位体比を超新星ejectaの混合物でどの程度まで再現できるかを 示すとともに混合比と混合組成の特徴について述べる. |