アブストラクト |
原始惑星系円盤内のダスト成長は、惑星形成過程の第一段階として重要な素過程である。また、ダスト成長が進むことにより原始惑星系円盤の温度やそこからの輻射は変化するので、原始惑星系円盤の観測結果を読み解く上でもダスト成長過程の理論モデル構築は重要課題となっている。一方、これまでのダスト成長の理論モデルでは、ダストは球形(フラクタル形状でない)としたり、衝突時には破壊はせずに完全付着合体するなどの簡単化がなされており、まだ現実的なものとはいえない。実際、このような簡単なダスト成長の理論モデルではミクロンサイズ以下のダストは急速に減少し、そのために原始惑星系円盤の観測結果との矛盾が生じている。今回はまず、「氷蒸発によるダスト分解」について考える。これは原始惑星系円盤の広い範囲で効率的にミクロンサイズ以下のダストを生成するメカニズムである。これによる原始惑星系円盤の輻射スペクトルや温度に対する影響を議論する。 |