セミナー: | CPS セミナー |
日時: | 2025 年 7月 31日(木)15:30 |
場所: | 神戸大学惑星科学研究センター セミナー室+オンライン(ハイブリッド開催) |
講演者: | 小玉 貴則 (東京科学大学 地球生命研究所 准主任研究者) |
タイトル: | 系外惑星時代のハビタブル惑星研究 |
要旨: | 観測技術の向上と数々の計画により、既に5000天体を超える太陽系外惑星(以下、系外惑星)が検出されており、その中には惑星質量と半径の関係から地球型惑星と考えることのできる惑星も報告されている。宇宙における生命の検出は、天文分野だけでなく、惑星科学、物理学、生物学にまたがる融合分野としての重要課題として位置付けられ、系外惑星系におけるハビタブル惑星の検討は盛んに行われている。 慣例的に、ハビタブル惑星とは惑星表面に長期間液体の水を保持している内部-表層間での物質循環が機能している地球型惑星として考えられ、ハビタブルゾーンの概念を導入することで議論されてきた。ハビタブルゾーンとは、液体の水を惑星表面に維持することのできる中心星からの距離範囲と定義され、その内側境界は暴走温室効果の発生、外側境界は温室効果の上限で決まっている。 現状のハビタブル惑星研究において、ハビタブルゾーンの境界の検討が議論の中心となっているが、地球の惑星パラメタに対して検討が行われているため、系外惑星の多様な惑星パラメタに対しては未だ十分な理解がなされていない。また、近年3次元大気大循環モデル(GCMs)を用いた検討も始まり、水蒸気や雲の3次元的な非一様性の重要さも議論の中心になってきている。特に、観測計画の中心課題として、太陽型星より低質量なM型星周りの潮汐固定された地球型惑星の表層環境推定は盛んに行われており、表面の温度分布だけでなく、昼面から夜面へのエネルギー再分配なども議論されている。したがって、我々は、系外惑星の気候状態において、気候システムを構築する各サブシステム(大気、海洋、大陸、雲など)の定量的な理解を進める必要がある。 本発表では、近年大きく発展している系外惑星科学の中でのハビタブル惑星研究をレビューし、これまでの理解と今後の課題を議論する予定である。 |
キーワード: | 系外惑星、ハビタブル惑星、気候 |
世話人: | 石渡 正樹 |
参加方法: