セミナー: | CPS セミナー |
日時: | 2025 年 6月 30日(月)16:00 |
場所: | ネット会議システム (Zoom) |
講演者: | 油谷 直道(神戸大学 理学研究科 日本学術振興会特別研究員(PD)) |
タイトル: | Dynamical Mechanism of Episodic Gas Accretion to the Central Region of Spiral Galaxies |
要旨: | 銀河中心部に存在する超大質量ブラックホールとその⺟銀河のバルジが共進化関係にあることが知られているが、どのようにしてこの共進化関係が築かれたのかは知られていない。特に、銀河スケールから中心核領域(≲100 pc)へのガス輸送メカニズムの解明が重要な課題となっている。本研究では、N体/SPHコードASURA (Saitoh et al. 2008, 2013) を用いて、異なるバルジ・ディスク質量比(Mbulge/Mdisk = 0.02, 0.1, 0.2)を持つ3つの孤立渦巻銀河シミュレーションを行い、質量輸送過程を解析した。 その結果、渦状腕からの重力トルクによる銀河中心領域(≲100 pc)への恒常的なガス流入(~1 太陽質量/年)がすべてのモデルで確認された。⼀⽅、棒状構造からの重力トルクによって突発的に10^7太陽質量程度の高密度ガス塊 (nH > 700 cm^-3) が銀河中心領域(≲100 pc)へ10Myrの時間スケールで流入することも確認した。この急速なガス塊降着は円盤ポテンシャルが支配的なモデル(Mbulge/Mdisk = 0.02)で確認されており、バルジが支配的なポテンシャル(Mbulge/Mdisk = 0.1, 0.2)では銀河中心でのバー不安定性が抑制され、このような急速なガス塊降着は発生しなかった。つまり、この棒状構造によるガス塊の突発的流入は、バルジの質量に依存し、孤立した渦巻銀河の銀河中⼼への高密度ガス供給と⼀時的な活動性を促進する重要なメカニズムである可能性を示唆する。また、時間に余裕があれば、最新の銀河衝突シミュレーション結果を交えて、これら円盤不安定性や銀河衝突による銀河中⼼への質量供給過程が、銀河の共進化過程としてどう機能するのかについて述べる。 |
キーワード: | Active Galactic Nuclei, Spiral Galaxies, SMBH evolution |
世話人: | 斎藤 貴之 |
参加方法: