セミナー: | CPS セミナー |
日時: | 2022 年 3月 1日(火) 16:00-18:00 |
場所: | ネット会議システム (Zoom) |
講演者: | 髙本 将男(理化学研究所 香取量子計測研究室) |
タイトル: | 光格子時計の実現と相対論的測地応用 |
要旨: | 時間・周波数の精密測定は、精密分光学、基礎物理定数の恒常性の検証や相対性理論の検証など基礎物理学に貢献するだけでなく、全球測位衛星システムや高速大容量ネットワークの同期など、社会インフラの中核としても重要な役割を果たしてきた。時間・周波数はマイクロ波遷移を基準とするセシウム原子時計によって定義され、その不確かさはδν ⁄ ν0≈10 -16に達し、「秒」はSI単位系の中でも突出した精度で計測できる物理量となっている。一方で、レーザーの発明や光周波数コムを始めとする光周波数のコヒーレント制御技術の進展により、原子時計の研究は、マイクロ波から光領域の電子遷移を利用した光時計へと移行しつつある。2001年に提案された光格子時計は、魔法波長光格子を利用することで極めて高い精度と安定性を両立できる次世代の時間周波数標準として期待されており、2016年にはセシウム時計を2桁上回るδν ⁄ ν0≈10 -18の不確かさが実現された。このような18桁精度を持つ超高精度な時計は、高低差1cmに相当する重力赤方偏移を検出することができる。このような相対論的な時間遅れを利用して時計で標高を計測する手法は相対論的測地と呼ばれ、新たな測地技術として注目されている。本発表では、光格子時計の実現と高精度化に向けた取り組みと相対論的測地への応用について紹介する。 |
キーワード: | 量子エレクトロニクス、量子計測、原子時計 |
世話人: | 牧野 淳一郎 |
参加方法: