セミナー: | CPS セミナー |
日時: | 2020 年 11月 27日(金) 16:00-18:00 |
場所: | ネット会議システム (Zoom および TV会議) |
講演者: | 佐川 英夫 (京都産業大学 理学部 教授) |
タイトル: | 金星大気微量成分の観測:近年の観測成果と今後の展開 |
要旨: |
金星大気の研究と言えば,惑星の自転速度よりも高速で循環する「大気スーパーローテーション」の生成・維持機構の解明が主要な研究課題として注目を集めるが,金星大気に対する科学的な興味はもちろんこれだけにとどまらない.具体例を挙げると,スーパーローテーションが金星の雲層高度よりも下方の大気循環を支配しているのに対して,雲層よりも上方における大気循環がどうなっているのかという問題や,金星全球を覆う硫酸の雲の生成過程や気候的役割の理解,CO2大気の安定性問題,地表面と大気との相互作用,固有磁場を持たない惑星からの大気散逸など,枚挙にいとまがない. こうした金星大気科学に関してこれまでに様々な観測的研究が展開されてきた.本セミナーでは,特に金星大気微量成分の高分散分光観測に焦点を当て,近年の観測成果や今後の展開を紹介していく.大気微量成分の観測は,単に大気化学の制約となるだけではなく,ドップラーシフトを用いた大気循環の観測や,放射伝達を介した気温構造への影響評価など,金星大気を理解するための重要な観測アプローチとなる.また,つい最近,Greaves et al. (2020)で示されたPH3という(金星大気においてはこれまで全く注目されてこなかった)物質の観測結果,およびその後の検証議論などについても話題提供を行う. |
キーワード: | 金星大気,大気微量成分,分光観測 |
世話人: | 樫村 博基 |