セミナー: CPS/WTK セミナー
日時: 2020 年 10月 8日(木) 16:00-18:00
場所: ネット会議システム (Zoom および TV会議)
講演者: 堀之内 武 (北海道大学 地球環境科学研究院 教授)  
タイトル: 金星大気の超回転の維持機構について: あかつきからの示唆
要旨: 本講演では,金星大気の超回転の維持機構について,探査機「あかつき」から得られた診断結果を中心に話す。まずはしばしば漠然と捉えられている超回転の理解を,形成と維持に分け,さらに後者を,全角運動量の長期の維持と,大気内の角運動量分布の維持にわける。いずれも相互に関わるが,一旦分けることで問が明快になる。「あかつき」による観測で扱えるのは最後の構造維持問題であるので,以後はこれに注力する。その際,特に重要となる雲層の上部に焦点を当てる。診断の枠組みとして変形オイラー平均(TEM)に基づく角運動量収支の式を示し,その二大要素である,子午面循環による移流項と渦角運動量の輸送項を検討する。前者は過去の探査機から得られている情報を整理して概算する。後者をあかつきのデータに基づく雲追跡から得られた雲追跡風などにもとづいて推定し,理論的な考察で補う。あかつきで捉えられた各種の大気運動についても紹介する。最後に,超回転の役割を大気大循環論の中で位置づける。本講演は主に以下の論文およびそのオンライン補遺に基づく。Horinouchi etal (2020) https://science.sciencemag.org/content/368/6489/405/
キーワード: 金星,超回転,あかつき
世話人: 林 祥介