日時: 2012 年 10 月 17 日(水) 15:00-16:00
場所: CPS セミナー室
講演者: 三浦 均 (東北大学)
世話人: きむらひろし
タイトル: コンドリュール凝固組織形成過程の理論的理解に向けて
要旨: コンドリュールは隕石に含まれるmmサイズの球状珪酸塩組織であり,初期太陽系において加熱溶融後,急冷凝固したものだと考えられている。コンドリュールの形成過程やその条件を解明することは,初期太陽系における固体物質の進化や,ガス円盤の物理・化学環境を知るうえで重要である。これまで,実験室中において溶融コンドリュールの凝固実験が行なわれてきた。一方で,凝固過程を理論的に解明する試みはほとんど行なわれていなかった。コンドリュール形成過程を明らかにするためには,凝固実験結果を理論的に解釈することが必要である。そこで我々は,数値計算手法による凝固過程のモデル化に取り組んでいる。合金凝固の分野で活用されているフェーズフィールド法を多成分珪酸塩メルト系に対して適用することで,溶融コンドリュール中で固相が成長する際の固液界面の形状変化・結晶化潜熱の解放による温度上昇・固液界面における元素分配・元素拡散を自己無矛盾に扱うことが可能となる。本セミナーでは,溶融コンドリュール凝固において重要となる素過程について紹介すると共に,理論的アプローチによるコンドリュール形成条件の再考察についてお話したい。
キーワード: コンドリュール,凝固,結晶化潜熱,元素分配,形態不安定