日時: | 2012 年 10 月 3 日(水) 15:00- |
場所: | CPS セミナー室 |
講演者: | 岡村 奈津子 (東京大学) |
世話人: | 鈴木 絢子 |
タイトル: | あかりを用いた低アルベド小惑星の分光データ解析:小惑星帯の広範囲における含水鉱物の検出 |
要旨: |
小惑星帯における含水鉱物の分布は、太陽系の形成と初期進化において重要な情報(太陽系星雲の温度構造、地球型惑星と木星型惑星の形成過程の違い、地球の水の起源など)を含んでいると期待される(e.g. Lecar et al., 2006)。含水鉱物の有無やその種類などの情報は小惑星表面の反射スペクトルの約2.5-2.8 micronの吸収バンドから調べることができるが、地球大気中の水蒸気による光の吸収のため、地上望遠鏡を用いたこの波長域の観測は困難である。よって先行研究でこの波長域を観測できた小惑星は、ESAの赤外線天文衛星ISOによって観測された1Ceresのみである。つまり小惑星帯における含水鉱物の分布について、約2.5-2.8 micronを含むスペクトルを系統的に観測と解析をした例はない。 そこで本研究では、地球大気の影響受けない宇宙空間において、赤外線天文衛星「あかり」を用いて33個の低アルベド(アルベドが0.1以下)小惑星を観測・解析し、含水鉱物の有無と吸収強度を調べた。本発表ではあかり衛星で取得した分光スペクトルの結果を示し、その結果から考えられる太陽系の進化に関わる議論を行う。 |
キーワード: | あかり, 含水鉱物, 反射スペクトル, 水質変成, 小惑星 |