日時: 2012 年 4 月 4 日(水) 15:00-16:00
場所: CPS セミナー室
講演者: 三河内 岳 (東京大学)
世話人: きむらひろし
タイトル: 火星隕石に含まれる黒色カンラン石:衝撃変成作用による鉄ナノ粒子の形成
要旨: 火星隕石中のカンラン石には黒色化したものが多く見られる。透過型電子顕微 鏡によりこれらの試料を観察したところ、直径10-20ナノメートルの金属鉄ま たはマグネタイトのナノ粒子が存在することが分かり、これらが黒色化の原因になっていることが明らかになった。これら鉄鉱物から成るナノ粒子は、カンラン石の衝撃実験で40 GPa以上の衝撃圧の際に形成されることが示され、黒色カンラン石を含む火星隕石の推定衝撃圧とよく一致している。2種類のナノ粒子が存在することは衝撃時の温度上昇の違いによって説明できる。これらのナノ粒子の存在は、カンラン石の反射スペクトルや磁化率を変化させるために、惑星探査でリモートセンシングを行う際にはその影響を考慮する必要があると言える。
キーワード: 火星隕石、カンラン石、ナノ粒子、衝撃変成、リモートセンシング