日時: 2012 年 1 月 17 日(火) 15:00-16:00
場所: CPS セミナー室
講演者: 今村 剛 (ISAS/JAXA)
世話人: 岩山 隆寛
タイトル: 惑星大気の波数スペクトル
abstract: 惑星大気中には様々なスケールの擾乱が存在する。これらの階層間の相互作用を推定する一つの方法として、風速や温度のエネルギースペクトルを調べるという統計的アプローチがある。地球大気ではBoer and Shepherd (1983)やNastrom and Gage (1985)などによって水平波数スペクトルが調べられ、これをもとに傾圧波によるエネルギー供給、エネルギーやエンストロフィーのカスケード、ラインズ効果によるアップワードカスケードの抑制、地形による励起、重力波の寄与などが論じられてきた。地球以外の惑星でエネルギースペクトルを調べた例はほとんどないが、Imamura et al. (2007)とImamura& Kobayashi (2009)により火星大気のスペクトルが調べられている。それによれば、定常成分は東西波数2で極大となり高波数側で急激に減少、変動成分は波数1 で極大となり定常成分に比べてスペクトルの傾きが小さい、低緯度では変動成分は平坦で白色雑音的、メソスケールで平坦化、といった特徴が見られる。本セミナーではこれらの結果をもとに地球大気との類似と相違について議論する。金星や木星の同様の話題も紹介したい。