日時: | 2011 年 6 月 29 日(水) 15:00-16:00 |
場所: |
北海道大学理学 8 号館コスモスタジオ |
講演者: | 本田 親寿 (会津大学) |
世話人: | 木村 淳 |
タイトル: | 月に形成したクレーターの光条消失時間について |
abstract: |
固体惑星表面に形成される衝突起源の新しいクレーターは、リムの外側に明るい光条を示す。 クレーターの光条は、新しいクレーターが形成した際に表層下に存在するアルベドの高い物質がリムの外側に堆積することによって筋状の模様として見ることができる。この光条は時間の経過とともに、宇宙風化作用や微小隕石の衝突などを受けることによってアルベドが低下し、次第に見えなくなる。このことを本研究では光条の消失と呼ぶこととする。 Clementineデータを用いた最新の研究によると、7億5千万年で光条が消失するという報告があり、この結果は過去研究(おおよそ10億年で消失)整合性があった。我々は、かぐやTCデータを利用して直径300m以上のクレーターの位置と直径を同定し、MIデータで調査領域すべてのクレーターの光条分布を調べた。その結果、クレーターの光条消失時間は過去研究と比べて有意に長いという結果が得られた(20億年以上?)。我々が調査した領域は物質が長年の隕石衝突によって均質になっていると思われる高地を選んでいる。月の高地は鉄をほとんど含まない鉱物の集まりであるため、宇宙風化作用が進みにくいと予想される。そのため我々の結果が過去研究と比べて有意に違いがうまれたのではないかと予想している。今後は宇宙風化作用という点に着眼をおいて研究を進める予定である。 |