アブストラクト |
成層圏の物質循環(ブリューワー・ドブソン循環)の年平均、各季節のクライマトロジー(平均状態)と重力波(浮力を復元力とする大気波動)の寄与を、4つの大気再解析データを用いて調べました。再解析データで解像されている波をロスビー波、解像されていない波を重力波として、重力波の寄与を診断的に推定する方法を考案し、解析してみました。重力波は冬循環の夏半球部分を駆動することが先行研究で指摘されていましたが、これに加えて夏を除くすべての季節で循環を高緯度に広げる役割があることがわかりました。また、春・秋の循環が赤道対称ではなく、秋循環のほうが大きく強いこともわかりました。この非対称性は、放射過程による季節変動に関連する角運動量輸送によるものと考えられます。また、診断法により求めた重力波の寄与を、パラメタリゼーションで表現された重力波強制や同化インクリメントと比較する事で、現在の重力波パラメタリゼーションの問題点についても具体的に議論します。 |