アブストラクト |
本発表では、過酸化水素が酸化的な昔の火星表面を温暖化させうる温室効果ガスであることを提案する (Ito et al., 2020)。近年、火星探査から、過去30-40億年前の古火星環境の情報が残されているゲイルクレーターで、高濃度の酸化マンガンが検出された。これは、酸化マンガンが沈殿した時代の古火星環境には、液体の水と非常に酸化的な大気が共存していたことを示唆している。ただし、これまでの研究で提案された古火星が液体の水を保持する原因を作った温室効果ガスの水素やメタンは示唆された酸化的表層環境と整合的でない。本研究では、大気モデルに基づき、古火星表層を温暖化をするには、二酸化炭素大気中の1ppmの過酸化水素で十分であることを示す。これは、過酸化水素は遠赤外線の波長での吸収が強いためである。最後に、この過酸化水素が安定に存在しる酸化的大気環境について議論する。 |