アブストラクト |
NASA火星探査衛星星掩蔽観測で得られた新たなデータセットを用いて火星夜側中間圏の温度構造を調べたところ、数値モデルよりも最大で90Kも高い温かい大気層が高度70-90kmに存在することがわかった(MY33-34におけるLs=0-180の 解析結果)。元来、夜側中間圏は非常に低温であることが期待されるため本結果は驚きである。Wave-3構造の特徴を示していることから熱潮汐やプラネタリ波との関連が示唆される。興味深いことに、数値モデルは観測で得られた特徴をよく再現できているが振幅が圧倒的に足りない。今回観測された現象との関連は不明だが、地球および金星においても類似された中間圏で特異な温度構造があることがわかっており、3つの惑星比較は面白い。本発表ではNakagawa et al. (2000)を概観するとともに、可能な限り比較惑星学的な理解を試みる。 |