| アブストラクト |
惑星大気大循環の１形態である、自転を追い越す向きの惑星規模の高速東西風「スーパーローテーション」の力学を、理想化された自転軸対称な大気の基礎方程式系をもとに、理論的・数値的に研究した。理論モデルを構築することで、スーパーローテーションの強度と力学的平衡状態を見積もり、広いパラメータ範囲で、その妥当性を数値実験で確かめた。基礎方程式系として、自転軸対称なブシネスク流体のプリミティブ方程式系を用い、これに非軸対称な擾乱による運動 量輸送の帯状平均効果を表す強い水平渦拡散を与えた。この系では、子午面循環と水平拡散が角運動量を赤道上空に供給することで、スーパーローテーションが生成・維持される。理論モデルは、惑星大気大循環を特徴づける４つの無次元量 を未知数とした連立４元代数方程式で記述される。この連立方程式からスーパーローテーション強度に関する５次方程式が導かれ、その唯一の正の解が理論的見積もりを与える。さらに、理論モデルを調べて、解の典型的な力学的平衡状態 は、旋衡風平衡、地衡風平衡、水平拡散平衡、各々に対して、熱の移流が無視できる状態と無視できない状態があり、計６種類であることを明らかにした。 |
