アブストラクト |
地球での接地境界層の研究は、1940年代の Monin や Obukhov の相似則の発見、1960年代の Kaimal や 光田による超音波風速温度計の発明と、それによる直接観測の実施により大きな発展を遂げた。近年の観測プロジェクトでは、通常気象観測についで定番の観測として組み込まれるに至っている。 1970年あたりを現在に続く実質的なスタートと考えると、その40年の歴史の中で、前半は気象力学的な興味を中心に研究が進められ,後半は大気と地球表面との間での、運動量・熱・水蒸気・CO2他の物質の交換量のモニターに重点を移していった。また、その観測も、なるべく理想的な条件を探して行う観測から、都市や森林といったモニターしたい対象上で行うように変化して来ている。 このような研究の流れと、そこで分かったことを概観し、この種の観測的研究がもたらした成果について考えたい。また、実際の観測を行うためには、多くの経験則が登場するが、これらはあまり教科書では触れられない。このようなことも含めてお話し、状況の異る火星での観測への適用について検討する材料を提供したい。 |