アブストラクト |
月は地球を除き、熱流量観測が行われた唯一の天体である。したがって熱流量 値を正確に決めることは、固体惑星の内部構造や熱史を推定する上で、最も重 要な観測量のうちの1つである。そこで本講演では主にアポロ熱流量観測につ いて、これまでの理解を紹介する。
アポロ15号、17号ミッションで熱流量観測が行われ、それぞれの着陸地点で21 mW/m^2、16 mW/m^2と報告された(Langseth et al., 1976)。また全球平均値を 18 mW/m^2と推定し、これが月熱流量値として、広く知られている。
ところがこれまでの解析結果には大きく3点、不十分な点がある。それは熱 流量観測地点の地域特性(Warren and Lasmussen, 1987)と、月レゴリスの熱伝 導率の不確定性である(Saito et al., 2006)。これらに加え、最近になって未 解析の熱流量観測データの存在が確認された(Saito et al., 2006)。
本講演では上記3点を踏まえてアポロ月熱流量観測結果の現状までの理解を 整理し、解析の今後の展望について述べる。 |