アブストラクト |
ポストゲノム時代と言われる現在、ゲノムから翻訳され作られるタンパク質 について、その立体構造の解析が進められている。立体構造情報は、ゲノム 情報から得られる単なる一次配列情報以上に、その機能を知る上で極めて重 要な情報となるからである。我々の研究グループは、タンパク質の立体構造 と機能の関係について幅広く研究を展開しているが、今回のセミナーでは、 タンパク質の立体構造解析の概要と意義について、最近我々が研究に力を入 れている昆虫由来タンパク質の研究を具体例として紹介する。 昆虫は地球上でもっとも繁栄している動物と言える。全動物種の4分の3は昆 虫であると言われており、種々の環境にさまざまに適応、進化し生育している からである。よって、昆虫をはじめとする無脊椎動物においては、タンパク質 分子レベルでも脊椎動物由来のそれとは異なった興味深い進化が見られること が期待される。そこで、最近我々のグル-プが立体構造解析に成功した、いくつ かの無脊椎動物由来タンパク質、(細胞間の情報伝達を担うサイトカイン、異物 から生体を防御する抗菌タンパク質など)について、その立体構造解析を中心と した研究について詳しく紹介し、何が分かり何がまだ分からないか、議論してい きたい。 |