セミナー: CPSセミナー
日時: 2017年7月18日(火)15:00 -
場所: 惑星科学研究センター セミナー室
講演者: 寺田 直樹 (東北大学理学研究科・准教授)
タイトル: 惑星大気の熱的散逸 - 再考
要旨: 惑星大気の「熱的散逸」は,太陽風相互作用などによる「非熱的散逸」と比べて比較的よく分かっていると考えられてきた.しかしながら,近年の探査機観測や理論研究の進展により,熱的散逸の散逸率(特に拡散律速散逸率)およびレジーム間遷移(ジーンズ流出・遅進流体力学的散逸・流体力学的散逸の間の遷移)は,理解が不十分であることが明らかになりつつある.特に火星では,初期数億年間にわたって熱的散逸の影響で大気を保持できなかった可能性が指摘されており,惑星の大気保有量や酸化還元状態などの長期的変遷を理解する上で,熱的散逸およびそのレジーム間遷移(加えて非熱的散逸の影響)を定量的に理解することが求められる.本セミナーでは,MAVEN探査機観測や全粒子(DSMC)シミュレーションの結果に基づいて,火星大気の熱的散逸に大気重力波が及ぼす影響を中心に議論する.
キーワード: 大気の熱的散逸,火星,大気重力波
世話人: 高橋 芳幸