日時: 2012 年 7 月 11 日(水) 15:00-16:00
場所: CPS セミナー室
講演者: 荒井 朋子 (千葉工業大学)
世話人: きむらひろし
タイトル: 隕石と流星群が示す小天体の局所的部分溶融の痕跡
要旨: 原始的分化隕石は局所的部分溶融及び分別の結果、薄片規模(mm-cmスケール)でナトリウムの不均質が生じている。また、双子座流星群のスペクトル観測ナトリウムの枯渇及び不均質が報告されている。近日点距離のおける太陽輻射熱による加熱温度を考慮すると、双子座流星群のNa枯渇は太陽加熱の影響よりも母天体の組成不均質を反映している可能性が高い。流星群のダストの粒子サイズが1-10mm程度であることから、ナトリウム不均質はmm-cmスケールで生じていると考えられ、局所的部分溶融を経た原始的分化隕石中のナトリウム不均質と調和的である。地球近傍小惑星3200Phaethonは、双子座流星群の母天体であるが、彗星活動は乏しく、彗星と小惑星の中間的特徴を持つ活動的小惑星(あるいは枯渇彗星)と考えられている。従って、Phaethonでは局所的な加熱溶融・分別を経験した物質と始原的物質が混在することが期待される。
キーワード: 小惑星, 流星, 隕石, 部分溶融, 惑星分化