日時: 2009 年 10月 15日(木) 13:00 - 14:00
場所: 神戸大学自然科学総合研究棟3号館 609 号室
講演者: 玉内 朱美 (イエナ大学, ポスドク)
タイトル: Morphological Effects of Dust Grains on Mid-IR Extinction Spectra
abstract: 固体微粒子の光学特性を、実験エアロゾル技術を取り入れ明らかにしてきました。分光分析実験においては、赤外線波長域で、非常に透明度の高いKBr(臭化カリウム)やCsI(ヨウ化セシウム)を媒質として使用し、測定したい試料をそれらの媒質に埋め込み、ペレット状にし、分光分析を行う方法が、長い間用いられて来ました。この方法の大きな問題点は、媒質に試料を埋め込むことにより起こる、媒質効果(誘電率の高い媒質を使用する事によって起こる偏光のズレ)が懸念されて来ました。すなわち、試料の空気中での吸収スペクトルと媒質中での吸収スペクトルとでは、相違がみられると推測されて来ました。私達のグループは、これらの問題を解決すべく、実験に取り入れたのが、エアロゾル技術です。長さ約50センチ、直径13センチの円筒状の空間の中で、粉体粒子(試料を1ミクロン以下の粉状にする)を窒素ガス(N2)の流れを利用しながら自由に浮遊出来る環境を作り、その状態のまま分光測定行いました。
また、粉体粒子の形態そのものの分析もポリエチレンフィルター上に抽出することにより可能になりました。
粒子形状分析には、SEMとTEMを利用しました。粒子も形状や大きさにより、赤外吸収スペクトルのピーク、バンド幅、強度に大きな変化がもたらされることも確認できました。
これらの実験方法と結果を報告いたします。