日時: 2008 年 10 月 7 日(火) 13:00 - 14:30
場所: 神戸大学 自然科学総合研究棟 3 号館 506 号室奥のセミナー室,
北海道大学 理学 8 号館 コスモスタジオ,
東北大学 惑星プラズマ・大気研究センター
東京大学 理学部 1 号館,
九州大学 理学部 3 号館 3603 号室,
宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部.
(ビデオ会議システムを用いて中継予定)
講演者: 西澤 誠也 (神戸大学)
世話人: 高橋芳幸
タイトル: 気象学分野におけるトレンドの検出法
abstract:  近年, 地球温暖化をはじめとする気候変動が大きな問題として, 学術 的また社会的に大きな関心を集めている. 2007年には, 気候変動に関 する政府間パネル (Intergovernmental Panel for Climate Change, IPCC) から, 気候変動に関する最新の知見を集めた第 4 次報告書が 発表された (http://www.ipcc.ch, 日本語訳等 http://www.env.go.jp/earth/ipcc/4th_rep.html). そのなかで,気候 システムの温暖化には疑う余地がなく, 過去 100 年の温暖化トレン ドは 0.75 度 / 100 年 であり, 最近の 50 年では, 昇温トレンドは そのほぼ 2 倍の 0.13 度 / 10 年 であること, 干ばつ・大雨・熱波・ 熱帯低気圧の強度といった極端な気象現象の現れ方にも変化が見ら れること, また, これらの気候変動に対する人間活動の寄与の可能性 が高いことなどが述べられている.
 気候変動に関する理解を深めるためには, 気温に限らず, さまざまな 大気変動におけるトレンドを見積もる必要があるが, 大気変動には, 外部強制に依らない内部変動が内在するため, 有限長の気象データか ら長期トレンドを見出すことは簡単ではない.
 全球平均した対流圏の年平均気温は,よく知られているように, 温暖 化傾向にある. しかし, ある地域では逆に寒冷化しているなど, 季節 ・地域間の違いが小さくないことが最近の研究から明らかになってき ている.
 全球平均や年平均されたデータにおける変動は, 平均操作により年々 のばらつきが小さくなっており, 見積もられるトレンドは統計的に十 分有意であることが多い. しかしながら, それぞれの季節や地域での 変動は, 年々のばらつきが大きく, トレンドを見積もった際には, そ の有意性についての考察が不可欠である.
 本セミナーでは, 気象分野で用いられているトレンドの検出法につい て, 著者による新しいを含め紹介する.
備考: 本セミナーは惑星大気研究会 オンラインセミナー と共催で行われます.
惑星大気研究会 オンラインセミナー http://wtk.gfd-dennou.org/