アブストラクト |
はやぶさ2によるC型小惑星リュウグウからのサンプルリターン探査の科学的成果をレビューする。 試料分析からリュウグウはCIコンドライト組成を持つことがわかった。そしてリュウグウ/CIコンドライトは非炭素質隕石(NC)や炭素質隕石(CC)とは 区別されるという太陽系物質の同位体的三分性が明確になった。Mn-Cr消滅核種年代学と熱史計算から、 リュウグウ母天体は太陽系誕生(CAI形成)から約200万年後に外側太陽系で形成された氷微惑星で、 400~700万年後に融解水により強い変成を受けて層状ケイ酸塩や炭酸塩,磁鉄鉱など二次鉱物が生じたと推定される。 磁鉄鉱微粒子に記録された強い周辺磁場(円盤磁場)から、リュウグウ母天体は水質変成を受けた時には内部太陽系まで移動していた可能性が高い。 講演ではこうしたリュウグウ試料から読み出された情報を整理し、そこから太陽系形成論にどのような制約が与えられるかを議論する。 |