アブストラクト |
2000年代以降、地球のアルベドが減少していることが衛星観測によって示されている。その大きさは0.6-0.7W/m2/decadeであるが、地球が反射する太陽放射エネルギーは全球かつ年平均で100W/m2程度であり、この減少傾向は無視できない。地球温暖化に伴う極域の海氷や陸域雪氷の面積の変化や海面水温の変化による雲量の減少などがその要因であると考えられている。一方で、この間、地球のアルベドは南半球と北半球でほぼ同じで、アルベド減少によって崩れていない。このアルベドの南北対称性は雲量の違いが海陸分布の南北差を補うことにより保たれているが、なぜそのようなことが生じるのか、また、近年のアルベド減少があるにも関わらずなぜ南北対称性が維持されているのかいうことについては決定的な説明はなく、極めて興味深い科学的課題である。本セミナーでは、関連する最近の研究をレビューし、セミナーの参加者とともにその要因について考えてみたい。 |