アブストラクト |
『あかり』は2006年2月22日に打上げられ、4年弱の科学観測を行った赤外線天文観測衛星である。あかり衛星は液体ヘリウムによる冷却が維持された当初の16ヶ月弱を用いて、全天サーベイ観測(スキャン観測)を行うとともに、波長2~200um の広い波長範囲で指向観測を行った。また、冷媒である液体ヘリウムの消失後は、冷凍機による冷却のみで 5um までの波長域での撮像・分光観測を行った。
あかり衛星は、望遠鏡の運用の制約が強く、観測時間を有効に使う事を目指して、その指向観測については公募観測だけでは無く、小~大規模のプログラム観測がプロジェクトにおいて公募され評価選定後実行した。これらの中で太陽系科学に密に関連する内容として、太陽系天体の観測プログラム(SOSOS)、星惑星領域の観測プログラム(AFSAS)の2課題が実行された。本講演では、あかりのサーベイ観測とこれらのプログラム観測で目指したサイエンスとその観測結果を概括する形で報告する。また、これらの結果を受けて、地球周回衛星からの太陽系天体の赤外線観測の今後についても議論する。 |