アブストラクト |
乾燥した希薄な二酸化炭素大気を持つ火星ではダストストームが発生するこ とが知られており、大気の熱構造、循環構造の形成において重要な役割を果 たしている。特に惑星規模ダストストームが発生すると、ダストが火星全球 を覆い温度が数十度も変化することが報告されている。しかしながら、現状 ではどのような条件でダストが地面から大気中に巻き上げられ、ダストストー ムが発生するのかはよくわかっていない。近年の探査機による観測から水平 スケール 100-1000 km 以下の中小規模ダストストームが数多く起こってい ることが知られるようになり、これらの中小規模ダストストームがダストを 大気中に供給する上で重要な役割を果たしていることが示唆されている。ま た、それらの中小規模ダストストームが、惑星規模ダストストーム発生の前 兆現象として捉えられており、中小規模の現象が惑星規模の現象にも影響を 及ぼしていることも示唆されている。このため、火星でのダスト巻き上げ過 程やダストストーム発生過程の理解には、中小規模現象を表現できるほど解 像度の高い全球大気の数値計算が望まれる。本講演では、我々が取り組んで いる高解像度火星大気大循環シミュレーションにおいて用いているモデルと、 そのモデルによるシミュレーション結果を紹介する。 |