セミナー: CPS/WTK セミナー
日時: 2020 年 12月 16日(水) 15:30-16:40
場所: ネット会議システム (Zoom)
講演者: 相木 秀則 (名古屋大学 宇宙地球環境研究所 准教授)  
タイトル: 大気と海洋の波動エネルギーのライフサイクル解析による熱帯気候変動メカニズムの解明
要旨: 大気と海洋の様々な長周期(季節内〜季節間スケール)波動は熱帯域の気候変動現象(MJO/ENSO/IOD)の発達・終息において重要な役割を担う。これらの波動を解析する際に従来の準地衡流近似に基づく診断理論は中緯度域と熱帯域の接続を整合的に取り扱えないという問題があった。最近の理論研究によってエネルギーフラックスの診断式のブレークスルーがもたらされ重力波と惑星波の違いおよび赤道域と中緯度域の違いによらず統一的に全ての波動を扱うことができるようになった(Aiki et al. 2017)。これは大気海洋中の擾乱エネルギーのライフサイクル(発達・伝達・消散過程)を緯度帯の制限なくトレースするための強力なツールである。これによって擾乱エネルギーの流れを可視化して定性的に理解するだけでなく、厳密な定量化により各力学過程の最重要なものを明確化することができる。本研究では、海洋モデル実験の解析事例の紹介と、大気解析用の3次元定式化の進捗状況とモデル結果について報告する。
キーワード: 大気、海洋、大気波動、海洋波動、波のエネルギーフラックス
世話人: 高橋 芳幸