第 3 回 CPS 衝突実験実習 テーマB

高速度での堆積岩へのクレーター形成実験

実験概要

開催日:2010年11月15〜17日
開催場所:宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部
講師:門野敏彦、長谷川直、中村昭子、鈴木絢子

太陽系にある固体惑星や衛星の地表面に存在する衝突クレーターの解析は、衝突天体の情報や衝突環境、太陽系天体の内部進化などの推定において重要な鍵を握る。しかしながら、惑星表面に存在するサイズでのクレーター実験というのは、現実的に不可能である。そこで、クレーターの解析方法として用いらてきたのがスケーリング則である。
1960年前後に始まった岩石を使ったクレーター形成実験により50年の間に非常に多くのデータが得られており、スケーリング則は整備されつつある。

図1:バリンジャークレーター

だが、金属クレーターの形成実験については多くデータがあるものの、惑星表面において大部分を占めている堆積岩におけるクレーター形成実験は系統的に行われておらず、堆積岩についてのスケーリング則を行う必要があった。2009年に行われた衝突実験実習において、砂岩、泥岩、石灰岩など数種類の堆積岩について弾丸速度2〜4km/sのクレーター形成実験が行われ、2010年に行われた衝突実験実習(基礎編)ではパキスタン砂岩に対して低速域(〜1km/s)でのクレーター形成実験が行われた。
しかしながら、これらの実験においても、未だ正確な堆積岩におけるスケーリング則は得られておらず、金属スケーリング則との比較を困難を極めた。 本実験では、得られたデータを門野ほか(2009),(2010)の実験結果と組み合わせることにより、堆積岩を対象としたスケーリング則の精度向上、金属スケーリング則との比較、実在の天体へのクレーター形成条件の推定の応用などを試みた。



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Last modified: 10.12.24
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