火星ランパートクレーターのエジェクタ地形形成過程の研究
火星上にある衝突クレーターのほとんどは,月などの他の天体では観察されない形状のエジェクタ(堆積物)地形を持っています。 ランパートクレーターと呼ばれるこれらのクレーターのエジェクタ地形は,特徴的な地形から,エジェクタが何らかの要因で流動化し,地面を這う流れ(重力流)となって堆積してできたと考えられています。 しかし,流動化の発生機構や流動化を引き起こした要因などは,まだ明らかになっていません。
流動化を引き起こした要因として,地下にある揮発性物質(水や二酸化炭素)か,大気が有力視されています。火星衝突クレーターのエジェクタ地形形成過程を明らかにすることは,クレーターが形成された当時の火星の地表・大気環境を類推する手がかりとなります。 私は特に,大気がエジェクタ地形に与える影響を調べています。
- 鈴木絢子,栗田敬 (2016) 火星衝突クレーターの特異なエジェクタ地形と劣化過程,地学雑誌,125(1), 13-33.
- Suzuki, A. I., Nakamura, A. M., Kadono, T., Wada, K., Yamamoto, S., Arakawa, M. (2013) A formation mechanism for concentric ridges in ejecta surrounding impact craters in a layer of fine glass beads, Icarus 225, 298-307.
- Suzuki, A., Kumagai, I., Nagata, Y., Kurita, K., Barnouin-Jha, O. S. (2007) Modes of ejecta emplacement at Martian craters from laboratory experiments of an expanding vortex ring interacting with a particle layer, Geophysical Research Letters, 34, L05203, doi:10.1029/2006GL028372.
小天体上のクレーター形成過程に関する研究
小惑星などの小さな天体上での衝突クレーター形成過程は,惑星などの大きな天体上でのそれと,様々な点で異なります。 例えば,天体の空隙率が高いことや重力が小さいこと,衝突速度が小さいこと,クレーターサイズに対して表面が不規則な形状であることなどです。 最近の宇宙惑星探査において,例えばイダ,エロス,イトカワなどの小惑星上で,不規則な形状の面に形成された衝突クレーターが見つかっています。 私は,特にぶつかられる表面の形状が,できるクレーターの形状に与える影響について調べています。
- Suzuki, A.I., Okamoto, C., Kurosawa, K., Kadono, T., Hasegawa, S., Hirai, T. (2018) Increase in cratering efficiency with target curvature in strength-controlled craters. Icarus , 301, 1-8. doi:10.1016/j.icarus.2017.10.019
Last modified: 2019.11.23
Copyright © 2016-2019 A.I.Suzuki. All rights reserved.
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