アブストラクト |
西山火口から少し外れると「シュー」と蒸気が勢い良く吹き出している場所がある。地熱帯だ。ごく僅かではあるが異臭もする。地面を踏み抜かないよう一歩一歩慎重に進む。
岡田先生がたどった踏み跡をたどりながら西へと進む。無数の倒木が行く手をふさぐ。地熱によって木が蒸し焼きになって、根元からなぎ倒されている。この付近は、西山火口付近に貫入したマグマに由来する蒸気の通り道となっていたのだ。辺りは熱気がむんむんしている。さらに耐えがたいことに、地熱が靴底から伝わってくる。じわじわ、じわじわと。蒸し焼きになった木はさぞかし辛かったであろうと思う (文/中神 雄一) |