アブストラクト |
西山火口沼から脇道にそれて、旧国道230号と平行して走る道路を南に向かった。単調な登り坂だった道路に亀裂が目立つようになる。さらに進むと、水を吸った火山灰が乾いて路面に硬くへばり付いている。亀裂は次第に断層になり道路は火口に向かって階段のように続く。この道路が、活動以前は下り坂だったと聞いて誰が信じられるだろうか?
火口までもう一息。泥状の火山灰によって道路のアスファルトは覆い尽くされている。見事だった松の街路樹も、『横なぐり噴煙』によって枝が吹き飛ばされ見る影もない。火口に近い松ほど枝も少なく、噴火当時のこの付近の状況を無言で教えてくれる。(文/中神 雄一) |