| アブストラクト |
多くの星が連星として誕生することが観測的に示唆されており、連星系の始原的な性質を明らかにすることは星形成過程を理解するうえで重要である。フィールドや星団内に存在する連星の軌道長半径分布などは詳細に観測されているものの、これらの性質は星団内での力学進化の影響を受けており、形成直後の連星の情報を必ずしも反映しない。
そこで我々はN体/SPHシミュレーションコードASURA+BRIDGEを用いて、分子雲を初期条件とした星団の形成から力学進化に至る一貫した数値計算を行った。個々の星が連星として誕生するケースを扱えるようにコードを拡張し、星が近接連星、遠隔連星および単星として誕生する三種類の計算を比較した。その結果、近接連星形成モデルでは比較的高い連星率が実現される一方、遠隔連星形成モデルでは近接遭遇による連星の解離が進み、連星率は単星形成モデルと同等の低い水準になった。主星質量への依存性を見ると、特に低質量星での連星率に違いが見られる一方、大質量星側の連星率の違いは小さかった。これらの結果は、観測で得られる連星の性質が形成直後の性質と星団形成過程における力学進化の両方に起因することを示している。 |