アブストラクト |
木星と土星の表層の流れは, 赤道周辺の幅の広い順行ジェットと中高緯度で交互に現われる互いに逆向きの幅の狭いジェットが特徴的である. この表層のジェットが深部領域の対流によって生成されているのか, 表層の流体運動の結果なのかは未だに明らかになっていない. 流体層の厚さが惑星半径に比して十分小さい「浅い」モデル, すなわち, 鉛直方向の静水圧近似の仮定の下で深部からの熱流と太陽加熱によって大気の運動が駆動されるモデルでは, 中高緯度の交互に表われる幅の狭いジェットは再現されるものの, 赤道域のジェットは必ずしも順行方向とはならない. 一方で, 流体層の厚さが惑星半径に匹敵する「深いモデル」, すなわち高速回転する球殻中の熱対流モデルでは, 赤道域の順行するジェットは容易に生成されるものの, 中高緯度の交互に表われるジェットの生成が困難である. 本講演ではこれらのモデルの歴史を振り返りつつ, 講演者の研究結果を交えて木星型惑星大気の数値モデル研究の現状を紹介する. |